歯磨きをしないと虫歯になる…だから歯磨きをする。

多くの方はこういった理由で歯磨きを習慣にしてきたのではないでしょうか?

そして、すでに気付いている方もいるでしょう。

そうです。「しっかり歯を磨いているのに虫歯になる」ということを……。

確かに歯磨きをしたところで、口内に虫歯菌がいる状態では、虫歯になるときは虫歯になってしまいます。

ではひとつ質問させて下さい。

「あなたは正しい歯磨きをしていますか?そして予防歯科を意識していますか?」

自信を持って「YES」と回答できる方は少ないのではないでしょうか?

勘違い、間違いが多いのが歯磨きです。そして予防歯科という考え方はまだまだ普及していません。

そこで「虫歯予防と正しい歯磨きと予防歯科」について深掘りしていきたいと思います。

どうして虫歯になるの?

むし歯になるのは、「歯」と「菌」と「糖」の3つが関係しています。

そしてこの三つのバランスが取れているときは、むし歯にはなりません。

抽象的すぎて分かりづらいと思いますので、「歯」と「菌」と「糖」を一つずつみていきましょう。

「歯」は脱灰と再石灰化を繰り返す

まず「歯」から。

「歯」は脱灰と再石灰化を繰り返しています。

食事をすると細菌が増加して数分で菌の塊ができます。そして菌の塊は酸を作り出し、酸は「歯」を溶かしてしまうのです。

これを「脱灰」といいます。

「歯」が溶けたままでは大変ですね。そこで登場するのが唾液です。

唾液は「歯」についた酸をキレイにして、唾液中の成分は溶けた歯に取り込まれて歯を元の状態に戻す役割を果たします。

これを「再石灰化」といいます。

「食べると菌ができ酸を作り出し、酸が歯を溶かし(ここまで脱灰)、唾液が酸をきれいし、唾液の成分で歯が元に戻る(ここまで再石灰化)」が繰り返されているのですね。

そしてこのように脱灰と再石灰化を繰り返すことで、「歯」は健康な状態が保たれているのです。

例えば「再石灰化」が正常におこなわれないと、どんどん「歯」は溶けていってしまい、むし歯になりやすい状態になってしまうわけですね。

「菌」は誰の口の中にもいる

食べ物を口にすると、菌の塊ができると脱灰で説明しましたが、この菌の塊はプラーク(歯垢)と呼ばれるものです。

そしてこのプラークがむし歯の原因となります。

そのため、いかに口内のプラークを残さないかがむし歯予防につながるのです。

体に必要な「糖」はむし歯の原因にもなる

人が生きていく上で必要な栄養である「糖」は、むし歯のリスクにもなり得ます。

なぜなら「糖」はむし歯の原因となる「酸」をもっとも作り出す成分だからです。

ここでひとつ質問です。

「糖」というと「甘いもの」をイメージしますが、ケーキやアイスなどを食べないようにすればむし歯にならないのでしょうか?

答えは「NO」です。なぜなら大抵の食べ物には糖が含まれているのです。

つまり単純に甘いものを避ければ良いわけではなく、食後はしっかりと口内をキレイにことが大切なのです。

「歯」「菌」「糖」のバランス

「歯」「菌」「糖」のバランスを取るには、「脱灰」と「再石灰化」がポイントになります。

食事をすると酸により歯は「脱灰」します。そして唾液により20~40分程度の時間をかけて「再石灰化」して歯は元の状態に戻ります。

ということは「再石灰化」が完了するまでは、「脱灰=食べ物もを口に入れる」を避けることが重要で、しっかりと「再石灰化」して歯を

元の状態に戻すことが重要なのです。

□ダラダラ食べない

□間食は避ける

□長い間口の中に残るものは避ける

正しい歯磨きの仕方

「再石灰化して歯を元の状態に戻す」ことが、むし歯予防に大切なことはお伝えしましたが…

「あれ?歯磨きって食後すぐがいいのでは?」と疑問に思ったかもいるでしょう。

この原理で言えば、食後すぐの歯みがきは良くないと言えます。

また「食後30分は歯みがきはしないほうがいい」といったことも多く報道されています。

「食後すぐ」or「食後30分後」?

今では「食後すぐ」よりも「食後30分後」の方がメジャーになっているかもしれません。

しかし、日本小児歯科学会では「通常の食事のときは早めの歯磨き」を推奨しています。

つまり昔から言われているように「食後すぐの歯磨き」がむし歯予防につながるようです。

しっかり歯みがきするなら、朝or昼or夜いつがベスト?

むし歯の原因となるプラークは、1日で作られます。

ということは、1日に一回しっかりとプラークを取り除くことが、むし歯の予防につながると考えられます。

つまり1日の最後の食事の後、プラークを残さないようにすればよいのです。

また睡眠中は唾液の分泌が極端に減少します。起きているときと比べると1/10程度まで減ると言われてます。

この唾液は「再石灰化」の重要な役割を担うため、「再石灰化」がおこなわれない時間は、むし歯の原因となるプラークは残したくはありません。

ですので、寝る前にしっかりと歯みがきをしてプラークを落とすことが、効果的なむし歯の予防につながると言えるでしょう。

歯磨きは何分?

歯磨きのポイントは、磨く時間は重要ではありません。

重要なのはプラークを残さないこと、つまり磨き残しがないようにすることです。

磨き残しが多い場所、「歯と歯の間」、「歯と歯ぐき間」、「奥歯の溝」、「噛み合わせ面」などは丁寧に磨くポイントになります。

また歯ブラシで届かない汚れは、歯間ブラシやデンタルフロスなどを併用してしっかりとむし歯の原因となる菌を取り除きましょう。

□歯みがきは食後なるべく早くおこなう。

□最後の食時の後、寝る前が適している。

□プラークを残さないことが大切。

むし歯予防の考え方

残念なことですが、正しい歯磨きをしても絶対にむし歯にならないということではありません。

しかし、むし歯予防に対して正しい知識を持って、正しい歯磨きを行うことで、虫歯になる確率を下げることは可能です。

それには普段から正しい歯磨きをして、定期的に歯科医院に検診に行なうことが効果的です。

しかし、むし歯でもなく予防のために歯医者に通う習慣は、日本にはあまりないようです。

これは「予防歯科」という考え方なのですが、「予防歯科」という言葉を初めて聞いたという方も少なくないのではないでしょうか?

予防歯科って?

予防歯科とは、「虫歯になったら治療すれば良い」という考えではなく、どうすればむし歯にならないかを考えて、「むし歯予防に重点」を置く考え方です。

どうしても日本の場合は、むし歯になってから対応する考えが浸透していますが、風邪を引かないように「手洗い・うがい・マスクなどをして風邪を予防する」ことを考えると、自分の健康、自分の大切な歯を守るためには当たり前の考え方だと思います。

自宅でできる予防歯科としては「正しい知識を持って歯磨きをすること」で、この自宅ケアにプラスして、歯医者の定期検診を行なうことが効果的です。

そしてこの予防歯科への取り組みの有無は、将来残存する歯の数に大きな影響を与えるのです。

予防歯科の効果は?

「予防歯科」先進国と言われるスウェーデンの状況をみると、日本との差は明らかです。

「予防歯科」の取り組みについての調査では、「日本:26.2%」に対して「スウェーデン:69.3%」と大きな開きが見られます。

そして「予防歯科」への取り組みの差が、「80歳代の残存歯数の違い」に如実にあらわれています。

「日本人:6.0本」に対して「スウェーデン:19.5本」です。

こういった背景もあってか、先進国の中で最も歯並びが悪いのが日本人と言われています。

しかし悲観する必要はありません。

なぜなら「予防歯科」という考えを理解して、これから行動すれば良いからです。

歯の大切は失ってから気付きますが、それでは遅すぎます。

まずは、今日からできるむし歯予防に取り組んでみてはいかがでしょうか?